木曜日, 1月 26, 2012

北の湖の理事長再任は正しい

30日に行われる予定の日本相撲協会の理事選、同日に行われる新理事会による理事長選で
北の湖の理事長再選が濃厚になった件について。

というかほとんど「露鵬・白露山の不当解雇」について。
正直この両力士、ほとんど興味なかったです。
若ノ鵬もそうでしたけど、いてもいなくてもいい、どっちかったらいない方がいい、くらいに。
でもあの解雇はあまりにも不当、
それに伴う北の湖の理事長退任もまったくもって不当で無意味だった、という話。


思い起こせば三年とちょっと前、若ノ鵬、露鵬、白露山の大麻問題において、
理事長であり直接白露山の師匠でもあった北の湖は任期半ばで引責辞任したのでありました。
その前年の時津風部屋の力士死亡事件なども積み上がって、
協会運営上監督不行き届きの無能な親方・理事長だと、
歴史的にはそんな評価が固まりつつあるんでしょうか。

でもほんとはそんなことないです。
三流マスコミのスキャンダリズムが荒れ狂っただけです。、
それを鵜呑みにして騒ぐ大衆の狂った義憤を解消してやるために身を引いただけです。
バカに引きずり倒されただけです。
誰も得しなかったし何もいいことはありませんでした
実際、後任の三重ノ海の武蔵川の方がよっぽど無能でしたし。


とりあえず辞任の主因となった露鵬・白露山兄弟の一件について、おさらいします。

2008年の8月に若ノ鵬の落し物に大麻が入ってて警察に捕まった、という所から始まります。
それを受けて翌9月早々に協会は抜き打ちで全関取の尿検査を行います。
そこで3人から怪しい反応が出ました。
露鵬、白露山、そして後になって判ることですが、若麒麟です。
三人は再検査に回され、なぜか3回目の検査で陰性となった若麒麟は解放されます。
この時点で検査を実施監督した故・大西祥平氏がマスコミの求めに応じ、
残った二人の名前を勝手にリークしました。
もちろん本人たちの了承なんかありません。
直後に北の湖理事長に呼び出されてこの件について謝罪してましたから、
検査を委託した協会の了解も無かった、ということです。
この時点で医師としての守秘義務違反です。
医師法とかじゃありません、医師の場合刑法で禁じられています。
第134条 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
ってやつです。
明らかな違法行為を前にこれを指摘・糾弾したメディアはありませんでした。
立場やばいのは大西です
理事長に呼び出されて叱られたことを機に大西は変節します。
慣れないマスコミの囲みに舞い上がって、あることないこと吹きまくり、
自分の行動・主張を正当化しようとしまくりました。
私は何も間違った事をしていない、
てことは間違ってるのは協会の方だ、理事長の方だ、
それになにより露鵬・白露山はハンザイシャじゃないか、
マスコミはそれを専門家の正論として扱いました。検証することなく

まず大西は「両力士は間違いなく大麻を吸引した」と根拠無く主張しだします。
 「基準値の5倍10倍は出ている。副流煙などではありえない。」
 「本人が吸飲した以外の可能性は0パーセント。」
 「数日内に吸ったと考えられます。」
 「これは科学的事実なんです、数値が示してるんです。」
などなど。

当時この大西の無茶な主張については、元厚労相の技官だった女性やら、
薬物事件を得意とする弁護士やらそれこそ本当の専門家がBlog等で疑問を呈していましたが、
そんな辛気臭い話マスメディアが取り上げるわけもなく、
ほとんど誰の耳目にとまることなく「もっと刺激的な話」に掻き消されました。
まず、「尿検査における閾値」の数倍とかって数字になんの科学的な意味があるのか、
そして「塗った」「塗られた」「食べた」「食べさせられた」「自然生成」など
その他の可能性をいかなる理由で排除して「100%本人が吸った」と断定し得たのか、
それらを示すことなくまったく非科学的にヒステリックに吠え続けます。
そしてワイドショーや週刊誌などはそれを「この道の権威の専門家の意見」として採用、
無批判・無検証・無責任に垂れ流し続けました。
そりゃ科学的だったり論理的だったりする義務ないんですから、扇情的な方がいい。
トンデモ系の方が面白いですもんね、
最近でいったら武田邦彦とか面白いじゃないですか。

大西が騙ったのは「科学」だけじゃありません。
「権威」にもすがりました。
自身が委員を務めるJADA(日本アンチ・ドーピング機構)の権威、
そしてその上位団体であるWADA(世界アンチ・ドーピング機関)の権威を騙りだしました。
 「国際的に認められた基準です。」
後述しますがそんなのウソです
国内唯一のWADA公認検査機関「三菱化学メディエンス」の権威も騙りました。
 「国際的に認められた検査機関が出した精密な結果です」
これもウソです
三菱メディは検査して結果は返しますが、その結果を評価する機関ではありません。

北の湖理事長は、大西が勝手に漏らしたこの検査結果に対して、
当初「両力士には検査を繰り返して、陽性であるうちは土俵には上げない。」
と表明します。
これはまったく正しい判断です。
ところが狂ったマスコミと非科学的・非論理的義憤に駆られた大衆はそれじゃ満足しません。
大西はそっちの潮流に乗って自分の落ち度をごまかそうとしました。
もうあることないこと言い出します。
 「両力士はロス巡業で吸ってきたとが言ってるみたいです。」
確実に数日内に吸っています、それは数値が証明しています、
と言っていたご自身の主張は、もう無かったことに。
というか風向き見ながら逃げ道や落としどころを探ります。



ここで大麻に関する尿検査やWADAの指針について整理します。

尿検査で調べるのは大麻の主要成分であるカンナビノイドとその代謝物です。
それらが検出されると「陽性」となるわけですが、
これをもって「大麻を使用した」という証拠にはなりません。
なぜなら日本の場合、一般の食品中から摂取することもありますし、
検査では区別できないカンナビノイドが体内で生成することすらあるからです。
「陰性」は「シロ」ですが、
「陽性」は「クロ」ではありません、「シロとは言えない」に過ぎません。

従って日本を含む多くの国の法律では、
大麻の所持、売買、譲渡、無免許栽培なんかについては規定がありますが、
使用に関しては規定がありません。
立証できないんですから。
人のおしっこ抜き打ち検査してカンナビノイドやその代謝物が検出されたからといって、
それを咎める法律は少なくともこの国にはありません。
それを無視して三流マスコミは露鵬・白露山兄弟がさも法を犯したかのように書きたてました。
罪人前提で「議論」や「批判」を繰り返し、刷り込みました。
そして多くのおバカさん達がマスコミの誘導に乗って誤った印象を確信しました。
実際は警視庁の大好きな家宅捜索があり、また任意での事情聴取があったに過ぎません。
もちろん家宅捜索でもそれらしきブツは出ていません。
身柄の拘束があったわけでもありません。

WADAの禁止表では、
大麻の主要成分であるカンナビノイドは、「スケジュールIV」に分類されてます。
WADAの禁止表は毎年更改されますが、
該当の2008年度の禁止表はまだここに残ってますからご参照ください。
「スケジュールIV」扱いの物質について、おそらくほとんど全ての競技において、
競技前の検査で検出されたら競技には参加させないよ、
競技後の検査で検出されたら当該競技の結果を取り消すよ、と規定されています。
アルコールやある種の風邪薬なんかと一緒です。
使っていけないとは言いませんがその影響下にるうちは競技に参加しちゃいけませんよ、
薬効が抜けてからまたきてくださいね、という分類です。
競技界からの追放とか、過去に遡って記録抹消とか、そんなのありません。

従って当時北の湖理事長が繰り返した
「検査を続け、陰性になるまで土俵には上げない」
という判断こそ国際的基準であり合理的判断です。
両力士に対する処分の「結論」なんです。
それを頭が悪くて理解できないのか、性根が悪くて誤解を広めたいのか、
 「北の湖は結論を先延ばしにしている」
 「今日も悪びれず同じことの繰り返し」
 「いったいいつになったら解雇するんだ」
 「理事長自身の責任はどうするんだ」
などと報じて何も知らない世間に誤解を広め、悪印象を植え付け、
他人が不幸になることで相対的ユーフォリアを得ようとする大衆の下賎な欲を満たそうとしました。
鵜呑みに信じちゃってた人、
北の湖は悪い奴だと思い込まされてた人、
今からでも恥を知り考えを改めましょう。

「スポーツ医学界の権威」として、日本相撲協会アンチドーピング委員として、
WADAの規定や国際的なスポーツ競技基準を説明して、
世間の誤解を解くべき任があったのは本来大西です。
それがしょっぱなにウソついちゃってたもんだから引っ込みがつかず、
北の湖降ろしに加担したんです。
解雇せよ辞任せよの声に乗って大西が振り回したWADAの権威なるもの、
WADA傘下のJADAの委員でありながら、
ありもしないWADA規定やら国際的基準やらをでっち上げてただけだったんです。
自己保身に走ってたのは大西であって北の湖ではありません。


各競技において「スケジュールIV」に追放なんかの規定は無いよ、と書きました。
ただし、WADA傘下の各国委員会に加盟してる各競技団体で、
独自に処分を下す、ということはあります。そりゃ勝手です。
相撲協会とも大西祥平とも無関係な人を引っ張り出しの昔の話蒸し返しので気の毒ですが、
アメリカの水泳競技者にマイケル・フェルプスという人がいます。
オリンピック見たことある人ならみんな知ってる超人です。
三年ほど前、オフのパーティーでの大麻の使用がバレました。
本人もそれを認めてごめんなさいって言いました。
アメリカ水連はペナルティとして3ヶ月の出場停止を言い渡しました。
数十社あったスポンサーのうち、1社が契約を打ち切りました。
今年のロンドンでの活躍も期待されている国民的ヒーローです。
そんなもんです。


それは海外の話だろ、日本じゃそうはいかねんだよ。
おや、そうですかね。
またまた昔話蒸し返しの古傷暴きので誠にお気の毒ですが、奇しくもまた水泳の話。
1984年のロサンゼルス・オリンピック水泳日本人選手団、惨敗でした。
早々に日程を終え、あとは閉会式までの間の暇潰し、
他の競技観戦したり、市内観光したりしてるなか、誰かが街で大麻を入手してきました。
さっそくみんなで回し飲みです。
これがたちまち役員にバレて、全員閉会式を待たずに強制帰国です。
既に成年に達してた2名は首謀者とみなされ競技界から永久追放されました。
実名も出て報じられていました。
うち一人は現在水泳教室を主宰して後進の育成にあたり汚名の返上を期しております。

当時未成年だった3人だったか4人だったかは、受動的に引っ張り込まれたとみなされ、
一定期間の謹慎処分のみで更正・再起の機会を与えられました
特にその中の一人はよっぽど反省して奮起して努力したんでしょう、
次のソウル・オリンピックでは見事金メダルを獲得しました。
はいバサロの鈴木大地ですね。
貴重な経験を買われたのか、その後日水連のアンチ・ドーピング委員に任命されました。
JADAの委員にもなりました、今じゃ理事です。
ついには国の枠を飛び出してWADAのアンチ・ドーピング委員です。
立派なもんです。
そのうち選挙にでも出ますかね。

過ちを犯した若年者に再起の機会を与えるって、大事なことですね。
相撲協会及び間垣部屋は外国から連れてきた未成年を、
監督もしなけりゃ更正の責も負わずにおっぽり出しましたけどね。
その件については以前書きました


露鵬・白露山兄弟に話を戻します。
触法行為があったわけでもないのに、
世間を騒がせた、大相撲の評判を落としたという理由で一方的に解雇された二人は、
その後、解雇の撤回と少々の賠償を求めて協会を相手取り民事訴訟を起こします。
出場停止程度ならともかく即クビってなあ他に比べていささか厳しすぎじゃあござんせんか、
と主張します。
無能弁護士は大西の守秘義務違反とかを突つかなかったようです。
結局判決で裁判長は、
「相撲は国技なんだから他のスポーツと比べ物にならねえんだよ」
と突き放し、協会による解雇を有効としました。
上告も棄却され確定しました。
ウィキペディアに書いてあったから本当のことだと思います。
ってかそこ書いたのぼくです、ごめんなさい。
てなわけで、法に反して世間を騒がせた大相撲の評判を落とした
ってのは大西祥平あって露鵬白露山じゃありませんよ。
むしろ両力士は勝手に確定値でもない検査結果を漏らされて、
謂れ無き不名誉を負わされ失職に追い込まれた被害者ですよ。
犯罪者を擁護してるんじゃありませんよ、犯罪者じゃないんですから。
それを犯罪者扱いしたんですよ、世間は。


そうですね、国技なんだから仕方ないんですよね。
国技じゃないんだったらどーでもいいんでしょうけどね。
反社会勢力と賭け麻雀やってるとこ現行犯逮捕された東尾は3ヶ月の出場停止でしたっけ。
幼女にイタズラしちゃった大洋の中山裕章は球団から解雇された上、
コミッショナーから1年間資格停止を食らいましたけど、
他球団に再就職して、その後オールスターまで出ちゃってましたね。
再起の機会を与えるって大事ですね。

未成年者の喫煙なんてのも立派な違法行為ですが、
ダルビッシュ有は日ハム入ってすぐの沖縄キャンプでやっちゃいましたね。
しかもこれは2回目。
球団からは急遽合宿所に召還、まだ在籍中だった高校からは停学処分を受けましたが、
事件の3ヵ月後にはイースタンに登板、その翌月には一軍昇格、
第2回WBCにはSAMURAI JAPANとして日の丸を背負い胴上げ投手、
そして今やメジャーと契約、同日に嫁と解約、知らぬものはいない大活躍です。
若年者に再起の機会を与えるって、ほんとに大切なことですね。



さてそういうわけで本日も大変長くなりましたが、
先の北の湖の理事長辞任は本人に咎は無く、また社会的にも意味は無く、
大西祥平を担いで騒ぎ立てたおバカさん達のお祭りに過ぎなかったということです。
今度の理事長選で北の湖の復活再任があれば、ぼくはそれを支持します。
年寄りにだって再起の機会があってもいいじゃないですか。

それにそこいら世代見回しても他に適任者いないじゃない。

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