地元カナダ紙からもヤレヤレ感あふれる記事が出てるようですが。
Pound pokes holes in IOC drug policies - New two-pronged test may not cover all bases
The Vancouver Sun July 26, 2012要は現在のIOCによるドーピングチェックは節穴である、と権威あるディック・パウンドさんが指摘してますよ、と。
日本語メディアで扱ってるのは今のとここれくらいかな。
「ドーピングで捕まるのは1割」 世界反ドーピング機関前委員長
…またパウンド氏は、スポーツ関係団体が汚職問題に気を取られ、ドーピング問題への対処がおざなりになっていると懸念する。
パウンド氏は「問題の所在は分かっているが、誰かを失格にするには証拠がいる。さらなるリソースと、スポーツ関係団体のさらなる協力が必要だ」と指摘。「(団体側は)複雑すぎるとか金がかかりすぎるとか、汚職の方がもっと大変な問題だと言う。それで対応が不十分になってきている」と付け加えた。 (略
CNN.co.jp 2012.08.02批判してるわけですね、自分をなおざりにした組織や人物を。
根拠を明示できない憶測だけで。
ここ数日出てるDick Pound絡みの一連のニュースの趣旨は「現在のドーピング・チェックの態勢はザルである」では決してありません。
「おいおい追っ払ったはずのディック・パウンドが甦ってこようとしてるぜ」ってのが一連のニュースの肝です。
わざわざIOC委員が顔を揃えるこの時期狙って2004年のアテネまで遡って再鑑定しろとかって言い出しましたよ、って話。
後述のようにフィギュアの金メダルもぎ取ってきた頃はカナダの英雄だったんでしょうけど、後にそのあこぎな手法が明るみに出たことですっかり母国でもあきれ気味に報じられる始末。
で、このディック・パウンドさん(ご丁寧な日本のメディアだとリチャード・パウンドさん)って誰ですかってことですが、仔細な閻魔帳つけてると大変長くなります、なるべくざっくり言うとカナダの元水泳選手であり、弁護士であり、カナダのオリンピック委員長として76年のモントリオール・オリンピックの運営で手腕を見せ、78年にはIOC委員に就任、以降サマランチ体制の中頭角を現し、80年はモスクワだったからあれですけど84年のロサンゼルス・オリンピック以来のカネまみれ現代オリンピックをサマランチと二人三脚で築き上げた大立物です。
IOCではサマランチの跡目を継ぐ会長になるんだろうと当初は最有力候補でもあったんですが、会長選を含む2001年のIOC総会を前に、同じく会長候補として立候補した韓国の金雲龍と裏でなんかあったんじゃねーの、とかサマランチ=パウンド体制下での金権オリンピックに辟易してた他国委員の不評と疑心暗鬼が結局ジャック・ロゲに集中してめでたく金雲龍ともども落選しました。
当時の香ばしい話がまだいくつか残ってますね。
有力者揃いIOC会長選スタート/2人の大物不思議な密会
…三月下旬、パリのセーヌ川沿いにある日本資本のホテルで、二人の大物候補が人目を避けるように夕食を共にした。
IOCマーケティング委員長として、五輪に莫大(ばくだい)なカネが流れ込む仕組みをつくり上げたカナダのディック・パウンド委員(59)と、国際競技連盟連合(GAISF)会長も務める韓国の金雲龍理事(70)。その急接近は関係者に大きな驚きを与えた。 (略
東奥日報 2001年4月21日
金雲龍氏のIOC会長挑戦
…来月16日に決まる2008年のオリンピック開催地と次期IOC(国際オリンピック委員会)会長をめぐる攻防がヒートアップしている。
大阪はかなり苦戦しており、北京とトロント、パリの三つ巴戦になっている。この開催地決定と絡んでIOC会長戦が注目され出した。つまり、現会長のサマランチ後継を唱える有力候補、ベルギーのロゲ理事に対抗するカナダのパウンド前副会長が、トロント開催への協力を条件に金雲龍理事を支援するのではないかと観測球が投げられているからだ。 (略
東洋経済日報 2001/06/29
「金雲龍」も名前でググっただけで「追放」とか「横領」とか「懲役」とかいった単語がいっぱい出てくるかぐわしい人物ですが、このへんはまだ失脚する前、テコンドーを正式種目に押し込んできたり、元気一杯だった頃ですね。
この御二方の名前は2003年7月の「2010年冬季オリンピックはどこでやろうかな会議」あたりでも頻繁に出てきていました。一回目の投票で平昌(韓国)、バンクーバー(カナダ)、ザルツブルク(オーストリア)の順、ザルツを切った決選投票ではバンクーバーの逆転勝利となったあれです。開催地と会長の椅子を巡った取引でお二人には色々人知れぬご苦労があったようです。
ソルトレークシティ・オリンピックの招致時の不正疑惑でも金雲龍の息子さんが大活躍の末、逮捕されてました。
まあ金雲龍の方は今回どーでもいいや、とっくにIOCから追放されてるし。
ディック・パウンドの方ね。
そのソルトレークシティ・オリンピックの語り草、フィギュアペアのカナダ組(ジェイミー・サレー&デヴィッド・ペルティエ)、ロシア組(エレーナ・ベレズナヤ&アントン・シハルリドゼ)の間に起きた、いや勝手に起こされてしまった「ソルトレイクシティオリンピックにおけるフィギュアスケート・スキャンダル」にも当然パウンドの名前が出てきます。マスコミ使ってあることないこと(有1:無9)吹いてまわり混乱に乗じる得意の手法で。
「なんかフランスの審判が技術委員会の席で不正採点について告白したらしいですよー」と匿名の有力関係者として根も葉もないこといって陥れ、銀だったカナダ組のメダルを金に塗り替えたのも、後になってパウンドの仕業と判明。
しかしパウンドの内外様々な攻撃をかわしジャック・ロゲ体制が安定するにつれIOCの中でも煙たがられだすや、権勢をふるえる新たな居場所を見出します。それがWADA会長(w
アンチ・ドーピングのマイルストーンのような出来事だったあのベン・ジョンソンの弁護人だった人が(結果として擁護しきれずジョンソンは真っ黒裁定)WADA会長。
2001年から2007年に至る在任中数々の喧嘩を吹っかけ数々の選手(や各国有力委員)を葬っていきました。失敗も多いけど。
ランス·アームストロングをドーピング疑惑に引き吊りこんだのもパウンドです。
この時も無関係な人や無責任なメディアを使って火の無い所にさも煙が上がったかのように言いふらしました。
この辺に詳しいですね。
WADA会長Dick Poundとはこんな奴だ! 2004年8月12日のワシントンポスト紙にWADA会長Dick Pound氏を批判する記事の訳
Lance ArmstrongがDick Pound WADA会長を糾弾した手紙 2006年6月9日にランスがロゲ会長及びIOC役員に宛てた「懲戒処分のお願い」の訳
Lanceの手紙:まとめ 上記の手紙の要約
以上3点とも「今日も反省の色なし(masayangの日記」よりランスがさもEPOを使用していたかのようにレキップに書かせて騒ぎ立てる。
トリノ・オリンピックでオーストリアのクロカン、ノルディック、バイアスロンチームをイタリア警察焚きつけて急襲家宅捜索させてドーピング疑惑に巻き込み惨敗に追い込んだのも、後になって調べるとこのパウンドの名前が出てくる。
マリオン・ジョーンズを後出しジャンケンで栄光の座から引きずりおろしたのもパウンド。
他にもあっちこっちのスキャンダルに仕掛け人として名を出してたんですが、かつては。
ってか失敗してパウンドの名前が明るみに出ちゃって批判を受けてるやつだけで、まだまだ書き足りないくらい。ググると去年はFIFAにもアヤつけてるみたいだし。
やり過ぎが批判され今はWADAからも追い出されてるはずです。
で発言に後ろ盾を失ってるはずなんですが、まだ喚くことをやめてないんだなー、この人は、もう黙れよ、CNN.jpも既に失ってる肩書き出すんなら少しはその素性にも触れとけよって思ってあきれたもんで覚え書きの次第。
この件後日追記あり
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