金曜日, 2月 06, 2015

伊豆大島に行ってきた件 2/4 三原山~大島公園

岡田港 東海汽船待合所前
さあ今回も無駄に歩きます。

まあ特になにしに行ったわけじゃなし、
ふだん散歩してて知らない道入り込んで迷ったりしてんのが、
このごろ近場じゃちっとも迷わなくなってんで、ちょっと遠出して迷ってこようと。
だから歩き回ってるだけです。
これといってなんかしたわけじゃないです。
思えばこの半年で秋田行ったり新潟2回行ったり宇都宮だ高崎だって
用事もなく行って、歩いてただけですもんね。
で、お昼とか食べ損なってヒーヒー言ったとか。
今回もそんなかんじ。


金曜の夜に船乗ったので、土曜の朝06:00に岡田港に入港しました。
初日のそれからの話。

取ってた宿は岡田だったんですけど、そんな朝っぱらから宿入っても仕方ないし、
岡田ウロウロしててもどうにもならないんで、元町目指してダラダラ歩き始めました。
だいたいこんな道。道中わき道それて覗いてみたり戻ったり。


大きな地図で見る

地図で見ると真っ直ぐで無駄の無いルートに見えますけどね、
無駄なんですよ、山登ったり下ったり。
別にここ、歩かなくたっていいんですよ。
船が岡田港に入ったら、早朝でもなんでも元町行くバス来てますしタクシーもいます。
元町近くの御神火温泉、夜行の船が着く日は朝6時半からやってくれてますし、直行バスもありますから。
そこ行って町が目覚めるまでひとっ風呂浴びて時間潰してりゃいいんです。
ぼんやり眺めてたら、そのバス行っちゃいましてねぇ。
まあ元町まで6kmくらい、1時間半、道草食っても2時間だろうと。
ちょうど元町の観光協会始まる頃に着くだろうと。歩き始めました。

もう平らなとこないですね。
港出たらいきなり坂道。
それも最短の道まっすご行こうとするとかなりえげつない急坂。
クルマ迂回してますもん、ゆるめの道に。
胸突きの坂15分ほどでしょうか登って、
「岡田郵便局」の前あたりでようやく普通の坂道になりました。
このへんで既に標高100mくらい。
で、まっすぐ道なりに都道の「大島一周道路」行けば歩道も整備されてていいんでしょうけど、行きません。
左に逸れて「椿花ガーデン」方面へ。
だってこっちの方がクルマ少なくて静かそうだったんだもん。(正解)

人家もぽつりぽつりとしか無い。
こんなとこの半鐘たたいて誰が聞くんでしょうね

と、なんか道のわきでガサゴソっと物音がする。
よーく見るとこの中に何かが2匹以上いる
イタチ? でかいんですけど
体長30cmくらい、子猫くらいのが電線渡ってる。
あとで乗った大島バスの運転手のお姉さんに聞いたら、リスだそうです。
タイワンリス。
観光用のリス園から逃げ出して野生化したんだそうです。

「他にもねぇ、サルもいるんですよ。動物園から逃げ出したタイワンザルが野生化して。」
「あとねぇ、キョンもいますよー、逃げ出したのが繁殖して。」

逃がし過ぎです。
ちょっと裏道入るとそこいらにこんなの立ってます
「キョンを捕獲するため、わなを設置しています」
いっそ動物園のレッサーパンダも逃がしてみたらどうですかね、
繁殖しませんかね。
こうなるともう動物園の檻ってのは囚われてんのか守られてんのか難しいです。

浄水場なのか溜め池なのかの向うに朝日に照らされた富士山が見えました。
三原山方向に入る道とかいくつかやり過ごして歩くうちに、登りより下りが増えてきました。
相変わらず平らなとこはありませんけど。
ちらちらと前方に海も見えてきたり。


「赤穂義士 遺族の墓」って、義士本人ならともかく、遺族はいいんじゃないの?
って思ったんですけど、討ち入り時に15歳以上、成年に達してた男子は流されてたんですね。
生かして放置してると意趣返ししますから。
平治の乱でも討ち取った義朝の子を情かけて生かしといたら平氏滅ぼされましたもんね。
親の因果で流された四人の咎無き悲運の子たちの眠る墓所が近くにあるそうです。
行きませんでしたが。

都道に再合流
最後の坂を下って元町に入りました。
伊豆大島最大の町。
島だなー、なんかゆるーい。

で、付近ぶらぶらしてるうちに観光協会開く08:30になりました。
観光協会で宿泊割引券の手続きしたり、島内地図や各種パンフレット貰ったりしました。

この後なにしたらいいかサッパリ考えてなかったんですけど、
見たら三原山頂口行きのバスが08:50にある。
とりあえず行ってみることにしました。
で、このバス代、片道890円かかるんです。往復1,780円。
ところが一日フリーきっぷは2,000円、往復して岡田まで戻れば元取れるじゃない。
二日用は3,000円ですと!
どこで買えるのか元町港のお土産売店のお姉さんに訊ねたら、どこやらへ携帯(たぶん私物)かけて聞いてくれました。
バスの車内で買えるそうです。
バスが来たので買いました。
各種施設割引も付いててお得です。多分。

山頂口到着 戻るバスの時刻確認
島入ってバス乗ったの初めてでしたけど、元町から終点山頂口まで乗ったの2人だけでした。
土曜日なのにこんなんでいいのかな。

山頂口のバス停の前は見晴台みたいになってます。
作例つき
朝は天気よさげだったんですが、なんだか雲行き怪しくなってきてたです。
下が元町市街、相模灘ごしに伊豆半島
辛うじて大室山は見えてますが、さっきまで右手にくっきり見えてた富士山は雲の陰。
その雲がまた濃くって、海に影が映るくらい。
ここが前線ですってかんじの明暗くっきり。

ちょっとは悩んだんですけどね、
まあ行けそうなとこまで行って、怪しかったら引き返してこよう、と。
重大な決心や覚悟なんか無いんです。
なんとなく見切り発車の成り行き任せで。
昨秋御嶽山でえらい目遭った人たちも、そんなもんだと思います。
ますます雲行きが怪しくなってまいりました
この「山頂口」ってのは外輪山の剣が峰に位置します。
外輪山は直径3、4km。
内輪山やその内にある火口部へはカルデラに降りてまた登ってくことになります。
片道目安40分。
中途半端に覚悟を決めてエントリー。
なんか荒涼とした溶岩や火山弾に草の生えた砂漠
外輪山から下ってカルデラの平地を歩くうちにパラパラと霰も落ちてきました。
ところどころシェルターなんかもあるんですけど、
今一番イヤなのは雨霰でも噴火でも無く、落雷なんです。
まるで逃げ場無い。
そりゃ噴火もイヤですけどね、こんな至近距離じゃ。
そういや以前三宅島に潜りに行った時もちょうど噴火しちゃいましたし。

カルデラ平原が済んで内輪山の登りに入りました。
落雷だ噴火だ心配しながら歩いてるうちに後方ではもっと大変そうなことが起きてました。
伊豆半島方面に竜巻発生 一本引っ込んで一本伸びてきたとこ
おーっ、地表到達寸前
相模灘はさんで伊豆半島南部、下田のちょっと北あたりでしょうか、
前後の距離感わかんないんで海上かもしれませんが竜巻が数本降りてます。
そっち方面、雲は真っ黒。
三原山上空の灰色の雲が善良に見えるくらい。
これで気が大きくなりました。
登山続行。

内輪山の登りに入りました。
道は簡易舗装してあるんで、普通の靴でも余裕歩けます。
ただ傾斜はきつい。
階段になっててもいいくらい、階段にしても急だろうってとこもあります。

内輪山のお鉢に辿り着くと火口部内ところどころに噴煙みたいの見えてきました。
たぶん500mくらい先

登山路から50mくらい
匂いしないんです、火山っぽい匂いが。
これ、噴煙じゃなくて噴気なんですね、降った雨が炙られて蒸気になっただけの。
冬場は特にはっきり見えるらしいです。

内輪山お鉢の道から内側に入るように「火口見学所」みたいな片道600mくらいのルートがありました。
その「火口見学所」からの眺め
火口の底までは見えないんですが、それなりに見渡せます。
赤いのは酸化鉄でしょうね。地球の腹わた。
ここらへんで標高700mくらいでしょうか、平地から4~5℃低いんでしょう、寒いもん。
で、ここから帰りは別ルートで戻ろうと思ってお鉢を1/4周ほど周ってみたんですけど、
別ルート見当たらない。
一人でおかしなとこ入っておかしなことになっても人騒がせだし。
それ以前に人騒ぐのか? 入山申請もしてないんだし。
外輪山からの往復、十人程度しかすれ違ってないし。
なので渋々登ってきたとこに戻って来た道帰りました。


山頂口バス停裏の建物に「伊豆大島ジオパーク」とかいう展示施設があります。
バスの時間まで2~30分あったし誰もいないようなので覗いてみました。
そしたらガイドだかレンジャーだかのおじさんが一人ひそんでました。
1986年噴火の動画が繰り返し映写される中、色々お話を伺いました。
そのS61噴火で全島避難の際、うちの近所のスポーツセンターにみんな来てた、とか、
その3年前のS58三宅島雄山噴火でもスポーツセンター来てた、とか、
H12 雄山噴火の時はちょうど潜りに行ってた、とか、
ろくでもない話で盛り上がりました。
三原山と雄山の溶岩の質の違い、火山弾の組成、カルデラ生成メカニズムなどなど、
たいへん好きな話を伺ううちあっという間に11:10のバスの時間。

このバス乗ると「大島温泉ホテル」行けるの。日帰り入浴もできるという触れ込みの。
バスもフリーきっぷ買ったから、日帰り入浴でおまけの割引券使えるし。
これで温泉入って食事でもしてから午後適当な時間に岡田なり元町なりに下りて行こうと。
ところが大島温泉ホテル着いたら

「あー、お風呂は13:00からで只今清掃中です」
「お食事は宿泊客と予約の団体様だけで、食堂営業はしてないです」

降りたバス行っちゃったじゃない。
次の元町行き2時間後じゃん。
どーすんのこれ。

しばらくロビーで過ごさせて頂きました、その節は大変お邪魔しました。
土産物売場で絵葉書買おうと思ったけどロクなの無いんで椿柄のクリアファイル買いました。

待つ間に色々見てたら一時間後に「大島公園行き」のバスがあることがわかりました。
とにかくそれ乗ります。
「大島公園」がどこにある何なんだかも知りませんが。

「レインボーライン」とかいうバスに乗ります。
大島バスは道中録音アナウンスで観光ガイドみたいの流れます。
それによると「大島公園」は上野公園の10倍とか日比谷公園の30倍とか、
たいへんなことになってるようです。周る気もしないほど大きいらしい。

近くに椿、遠くに海や島、風光明媚なくねくね山道を下り、「大島公園」とやらに着きました。
なにか鳴ってますけど、取りあえず目の前の「椿資料館」ってとこに入ってみました。
ここの屋内展示、結構地味に良かったです。
スタンプラリーのポイントでもあったし。

「大島一周道路」の向かいには椿まつりのメイン会場「椿プラザ」があります。
いつの間にか団体(十数人)の観光客も来てて、ステージ上ではアンコさんたちが踊ってます。


ステージの周囲には、いくつかの出店があるんですけど、
その場で食べられるもの売ってるのは一軒だけでした。
それもメインはおでん。
ダイコンとタコ頭を食べました。
2点で200円ちょっとだったと思います。
安くなくていいから、もう少しちゃんとしたなにかを食べたかったです。

まだ次の岡田行きのバスまで2時間近くあるんで適当に歩き回ろうと思いました。
動物園好きなんで行こうかとも思いましたが、
逆方向の「椿園」を抜けて「海岸遊歩道」とかいうのでも散策しようと思って、
動物園は今日のところ断念しました。(大失敗)

「椿園」はぼくには退屈でした。
強いて言えば、椿の品種って、お相撲さんの四股名みたいの多いいんだな、と。
白露錦

明石潟
咲いてなかったんであれですけど、春日野、御代栄、沖の浪、錦麒麟…
部屋や出身地が思い浮かぶような名前が多かったです。


で、この後まだバス来るまで1時間半くらいあるし、それまでバス通りに沿ってぶらぶらしようか、
ちょうど都道一周道路の外側に「海岸遊歩道」ってのがあるみたいだぞ、
適当に歩いて都道に戻って「椿トンネル」とやらをくぐったあたりでバス乗ろうか、
サンセットにはまだ早いけど、海沿いのどかに歩きながら新しい鼻歌でも作曲しようか、

とか思って軽はずみに入ったのが大間違い。
死ぬかと思った。

その辺に立ってた案内図たよりに椿園の外苑抜けて適当に海側に行ってみました。
こんなのんきな案内板
「美しい日本の歩きたくなるみち」

途中だんだんと道が怪しくなってくんですけど、その先も続いてるようなんで進みます。
なんとなく歩いてるうちに抜き差しならない状況になってきました。
まだ幅2mくらいはあります
幅員1m切ってきました
戻ろうかな、とも思いました。
このへんで戻れば15分くらいで娑婆に帰れます。
なのにも少し進んでみます。
もうね、道かと思えば沢、行き止まりの壁かと思えば道。
よじ登ったりずり落ちたり、順路も何も見えません。
どこ行ったら出られるんだかわかんない。
ほんとに深刻なとこは写真撮ってるヒマなかったようです。
足元も根っこやら朽木やら横たわるなか火山礫やらゴロゴロ。

案外ぼくの苦手な蜘蛛の巣とかはまるで無くって良かったんですけど、
ときおり藪の中からね、なんか気配ってか物音がするんです。
サイドからの物音にね、足も息も止めて身構えてるスキに頭上をなにかが駆け抜けたり。
鳥とかね、リスとかね、そんなのまだいいんですけど、
明らかにそうじゃない、それなりの大きさの哺乳類の息吹とか唸り声とか。

時間つぶしの軽い散策のつもりだったんですけど。
数時間前に三原山で雷に怯えてたのなんかすっかりどーでもよくなりました。
ごめんなさい、もういいです、勘弁して下さい。

とにかくなんか明るい開けたとこに出ました。
ざっぱーーん

どっぱーーん
 断崖絶壁です。
こう見えて海面から50mはあります。
足踏み外すと岩場に頭打ったり波にさらわれたり2,3回死ねます。
船越英一郎か片平なぎさに助けに来て欲しい場面です。

「この先危険」ってどーしろと
これまでは安全だったのかよ

ここ歩くの? これが遊歩道?

たぶん転げ落ちたら海面まで20秒くらいかかります

右は道 左はあの世
もーやだ。
道なき藪と断崖絶壁の繰り返し。
なにが「遊歩道」だよ、命懸けじゃん。
だいたい1時間くらい彷徨ってんのに誰一人行き会わないし。
ここでなんかあったら一週間くらい放置されんじゃないの?

とりあえず「笠松」というところで中途離脱して都道に戻れるようです。
道も道らしく広くなってきたし、傾斜もゆるいし、娑婆まですぐそこ。
よかったよかった、助かった。

キョン死んでるし!
キョン 腹ワタ出しちゃってるし
もーやだ。
こりごり。

いやね、後から考えたらね、こんなの大したことないんですよ、覚悟してれば。
中学や高校のワンゲル部の新歓ハイクにゃちょうどいいんじゃないですか、
軽くワイルドなフィールドで。
実際そんな危険でも無いし。
強いて言えば一人で入ったの危険だけど。
経験者がリードしてれば、どってことない楽しい風光明媚な散策路ですよ。

でもね、「海岸遊歩道」って名付けは無いわ。
これ新婚旅行で大島来たのが迂闊に入り込んだら離縁問題になりますよ。
今時新婚旅行に大島行く自体が離縁問題ですからいいようなもんの。
軽はずみに入り込むとほんと死活問題です。
たまたま飲み物とか持ってましたからあれですけど、
当然道中に自販機とか一切ありません。
街灯もありませんから、午後遅めに入って日が暮れちゃうと絶望的です。
野犬や野猿やその他の何かに喰われるね。


でね、「笠松」から遊歩道から脱出して少し行った先の「泉津」ってとこにバス停あって、
もう既に一本バスやり過ごしててまだ20分ほど時間あったから
14:00くらいだったから。
バス停前の「武田商店」でコロッケとアメリカンドッグと缶ビール買ってね、
それ齧りながらのバス待ちながらの命からがらをゆるゆる振り返ろうと思ってたらね、
バス来たの。
大島バス、運行前倒ししすぎ。

岡田行きのバスなんで、終点岡田港まで。
予約してた宿入って、
その宿の息子ってのが御神火温泉行くからってんで一緒に連れてってもらって、
帰って晩御飯頂いて、この日はおしまい。

あ、御神火温泉行く途中、サービスということで2013年伊豆大島土砂災害の現場にも連れてってもらいました。
まだまだ惨状の爪痕深く残ってました。
ってかあれだけ大規模広範囲だと、ちょっとやそっとで復旧できないわ、ありゃ。
カメラ持ってってなかったんですけど、写真ならこことかにたくさんあります。


初日だけでこれかよ。
ま、内容は無いんだけど、今回もだらだら長いなあ。
どこだって港の猫って、どうして目つき悪いんだ?




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